なぜ、匿名になる?
匿名サイトとは、サイトの運営者が完全に匿名なWebサイト。
警察、弁護士、ハッカー、そして国家権力。
どんな人間も、情報発信者を特定できない。
なぜ、匿名サイトを作ることができるのか。
バレてしまうことはないのか?
その疑問を明らかにする前に、そもそもインターネットにおける匿名性そのものの仕組みについて解説する。
匿名を生み出すロジック
匿名サイトだけでなく、ほぼ全ての匿名技術は、わずか2つのロジックによって生み出される。
1つは、暗号技術。
AES、RSA、楕円曲線暗号。
これらは匿名性を生み出す技術そのものだ。
暗号の仕組みを利用し、様々な匿名化の技術が生み出された。
エンドツーエンド(Signalに利用)、ゼロ知識証明、オニオンルーティング。
暗号技術については、長い話になってしまうので、ここでは紹介しない。
そして、もう1つが「秘密を守る組織と、それを許す法律」の存在である。
今回はこちらを紹介する。
VPNを例に考えてみよう。
VPNとは
VPN(Virtual Private Network)とは、暗号化トンネルを作り、データを細かく分割してから、1つ1つを暗号化する技術。
VPNのメリットは、3つある。
- 悪意ある攻撃者(ハッカー)が、あなたのネット通信を盗み見るのを妨害できる
- 他国のサーバーを経由し、国外からアクセスしてるように見せかけられる
- ネット上で匿名になれる
もちろん、ここでは3つ目の話をする。
VPNは、なぜ匿名?
「210.148.84.123」の女性が、掲示板で誹謗中傷を行ったとする。
もし女性がVPNを利用していたら、掲示板に伝わるIPアドレスは「210.148.84.123」ではなく、「50.168.72.119」になる。
この段階で、女性を特定することは、ほぼ100%不可能になる。
そしてVPNの運営会社は警察や弁護士から問い合わせがあっても、女性のIPアドレス「210.148.84.123」について黙秘する。
実際は、黙秘するというよりかは、そもそも記録しないというのが正しい。
このような、ユーザーのIPアドレスを記録しないVPNを「ノーログVPN」と呼ぶ。
秘密を守る組織
ノーログVPNの運営会社は、秘密を守る組織と言っていい。
秘密を守っているというよりかは「個人のデータを長期間保持する義務はない」ということなのだが、結局のところ同じことだ。
「ノーログVPN」は、日本で起業できない。
そんな会社を起業したら、その会社の社長は、あっという間に警察に逮捕されてしまうだろう。
日本の法律や、警察の風土は、「秘密を守る組織」の存在を許さない。
逆に言えば、海外には「秘密を守る組織」の存続を許す法律が存在するということである。
プライバシー保護の法律
海外には以下のような法律がある。
- 連邦データ保護法(スイス)
- 個人データ保護法(パナマ)
- 国際ビジネス企業法(セーシェル)
- 一般データ保護規制(オランダ)
どれも、個人のプライバシーに配慮するための法律だ。